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物語を魅力的にする手段として、拡張して表現するという手法があります。
Dahl の"The BFG" や "James and the Giant Peach" がそうであるように、楽しく核心をつくような話に作り上げることが可能です。筆力が問題になりますが…。
これを家族にも当てはめることができます。

● 単核家族から多核家族社会へ

米国や英国での、離婚率の上昇・固定化は、子供たちに複雑な心境を提供しているようです。日本ではまだ、多くないレベルなのだと思います。
両親が離婚し、その両親がそれぞれ再婚する。
社会趨勢としては、単核家族から多核家族社会へと移行していくのではないでしょうか。
子供を有する両親が離婚し、それぞれ再婚する(再婚しないこともある)。子供の親権をめぐって権利交渉になる。または、離婚した一方の親と共と新しい生活を始める。離婚ではなく、死別等によって同じように新しい生活を始める。いろいろなパターンがあると思います。

生物レベルで考えれば、単核家族が安定的だとは思いますが、社会的生物である人間は、この範疇におさまるものではありません。養子制度・里親制度があるように、私たち人類は柔軟な可能性を持つ生物だと思います。
そしてこの多核家族社会に生きる子供たちを応援する作家や児童書があります。

● イギリスの子供たちに圧倒的に共感される作家 Jacqueline Wilson

The Suitcase KidThe Suitcase Kid (1993年)
文: Jacqueline Wilson  絵: Ying-Hwa Hu Reprint 版 (1998年)

Nick Sharratt (イラスト) にこだわるなら、こちらです。ISBN: 0440863112 値段が違いますが。Reprint 版では裏表紙の全面イラストが無くなっていて文だけになってます。
本のなかのイラストは、各章の頭に1ページの約3分の1程度の大きさのイラストがあるだけです。章のタイトルはABC順になっていて、凝っています。

すごく厳しい物語です。子供特有の残酷さを持っているいるとも言えそうです。読者は 義父の子 Katie のいやらしさに憤慨することでしょう。私も 「Katie は将来とんでもない女になるのでは…」 なんて思いながら読んでいました。義理の父を生理的に嫌がり、名前さえ言おうとしない主人公 Andy の心が読者に訴えてきます。
両親が離婚し、それぞれが再婚し、さらに、新しい子供が生まれそうな環境にいる10歳の少女 Andy を応援する物語です。1週間おきに両親の家を往復して生活するというとてもタフな物語。
H is for Haiku という章では英文俳句を書いていたり、布団が出てきたり、子供の名前など日本を感じさせるところもあります。
☆5個!
レベル5で、29,000語。

● アメリカらしく大金持ちの父親家族

イギリスの作家に続いて、アメリカの作家から

Karen's Kittycat Club (Baby-Sitters Little Sister, 4)Karen's Kittycat Club (Baby-Sitters Little Sister, 4)
文: Ann M. Martin 絵: susan Crocca Tang

作家の Ann M. Martin は、Baby-Sitters Club series で成功したと思いますが、このシリーズから出てきた Karen Brewer (7歳)を主人公にした作品です。同じように2つの再婚する家族の間を2週間おきに行き来します。ただ、父親は大金持ちということで、一般的な家庭ではないです。Karen がどんどん暴走していくのが楽しい児童書です。こちらはシリーズ本で100冊以上発刊されていますが、残念ながら入手するのが難しいようです。作家名はひとりですが、チームで書いているかも。
Karen の心理描写が生き生きとしている超オススメのシリーズ本です。
レベル3で、各10,000語位

● ひと部屋を姉妹で使う状況は同じだけれど

The Wish I Wish I Never Wished (Full House Michelle)The Wish I Wish I Never Wished (Full House Michelle)
文: Cathy East Dubowski 絵: なし
レベル3、各10,000語位

少女が主人公で、家族は大家族、ひと部屋を2人の姉妹で使っていて不満がぶつかる、ここまで同じような設定でありながら内容がかなり違う児童書もあります。Full House Michelle もシリーズ本で、TV放映されるほど人気シリーズです。姉のStephanie を主人公にする別シリーズがあるなど、うまい作家です。このシリーズもチームで書いているのかも。


Jacqueline Wilson が描く「大家族」は、離婚した両親がそれぞれ再婚して、子連れの再婚どうしだからさらに義兄弟が増えている環境。Cathy East Dubowski がここで描く「大家族」は、母を失うも親類の家族と父親の友人がひとつの家に同居する大家族です。
The Suitcase Kid の主人公 Andy こと Andrea West は10歳、再婚した母親の家で生活するときは、同い年の義姉妹(義父 Bill の連れ子) Katie の部屋を使わしてもらう関係。FullHouse Michelle の主人公 Michelle Tanner は9歳、姉の Stephanie 13歳と同じ部屋を使っているけれど、姉がプライバシーの面についてちょっと神経質になっていく感じ。

ちょうど9~10歳ぐらいで自我が発芽してくる頃の子供の心理的雰囲気を伝えてくる作品だと思います。特に Jacqueline Wilson が描く複雑な家庭環境下における少女たちのあつれきは心に迫ります。ここまでタフな関係を持っている子供が現実にどれくらい存在するのかわかりませんが、こういう環境でも力強く生きていく Andy に共感する子供たちも、同じように力強く生きて欲しいと思ってしまいます。イギリスなどでは両親の離婚率はけっして低くない、特別なことではない状況なのですから。

紹介した3冊は、ちょっと大げさな設定ですが、子供たちにすれば、「似ている環境」を探すことは容易だと思います。作者たちも、そのあたりを理解したうえで、こうした作品を子供たちに向かって提供しているのだと思います。もちろん、大人の立場から、親・保護者の立場から、これらの作品を読んで子供たちの心を理解しようと向かうことも可能だと思います。
とても心に残る3冊(シリーズ)です。
 
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2005.08.06 | 児童書 | トラックバック(0) | コメント(0) |












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